英語教本91-10

橋本元首相が、日本歯科医師会から受け取った政治献金が発覚した話題から。

Former Prime Minister Ryutaro Hashimoto, who heads the largest faction within the ruling Liberal Democratic Party, has announced that he will leave the faction to take responsibility for a political donation scandal.
自民党の最大派閥を率いる橋本龍太郎元首相は、政治献金をめぐる疑惑の責任を取って派閥を離脱することを明らかにした。

関係代名詞の非限定用法(の挿入用法)を用いた長い文で、主語の"Former Prime Minister Ryutaro Hashimoto"をコンマ(,)以降の"who"節が修飾している。非限定用法と聞くと、関係代名詞節を2つのコンマでくくるところ以外、限定用法とどこが違うのかわからず、その度に調べるのだが、その度に忘れてきた。今回調べてまた思い出した。
その相違点は「限定/非限定」という名前の通りである。上の文だと、関係代名詞の先行詞である「橋本龍太郎」はユニークな(=固有の)人間であり、それ以上の修飾をあえて必要としない。読み手や聞き手にとっては、"Former Prime Minister Ryutaro Hashimoto"の時点でそれが誰だかすでに明らかであって、その後に続く"who .."は補足的に添えられているにすぎない。
それに対し限定用法だが、たとえば次の文で考えてみよう。

A pianist is a person who plays the piano.

先行詞"a person"は極めて漠然とした不特定の人物像であり、その後からの「限定」を待っている。それが来なければ"A pianist is a person."(ピアニストは人間だ。)という何も言っていない文になってしまうからだ。
先行詞がすでに限定的であれば非限定用法を、先行詞が非限定的であれば限定用法を用いることがわかる。英語はある一定の具体性を、文法的に求める言語だといえるかもしれない。