電子辞書(CD-ROM)の買い方を考える

開発元によってデータ形式や対応OSが異なり、また改訂による辞書の内容の相違や発売時期の不確定性から、電子辞書は消費者にとって購入のリスクの高い商品になっています。初めて買うときが一番難しい買い物です。
ここでは紙の辞書とCD-ROM辞書の発売時期をまず整理し、妥協して買うにしてもリスクを覚悟して購入に踏み切れるようまとめてみたいと思います。発売年/月はAmazon.co.jpの商品データを参考にしていますが、これは基本的に私的メモで、ミスによる誤記が考えられますので、購入前には必ずご自身で確認し、判断してください(購入の十分な判断材料として、ここの情報だけではかなり不足します)。なお情報は、2004年9月26日現在のものです。
Windowsの次期OS(Longhorn)のリリースは、アメリカでは2006年末ということで、新OSの対応版が出るのはそれ以降と踏んでいます。出版社はOSのリリースに合わせて、辞書の内容を改訂したりしないのでは、と勝手に考えているので、一部の電子辞書で対応版が出ても、辞書の内容が変わるとは限らないかもしれませんね。
【】内の数字は、紙の辞書の前改訂からの年数です。対象となる電子辞書はCD-ROM版で、データ形式の規格がEPWINGなど、横断検索できるソフトウェア(ここではJamming)の対応が得られるものに限ります。なお、システムソフトのことはよく知らないので、省略しました。



小学館
Windows版とMacintosh版が出た後、Windows XP対応版が出ました。対応版が出るということは、98年に出たWindows版はXPにインストールできなかったのでしょうか。それとも検索ソフトの問題?*1 
この辞書の元になっているのは"Random House Dictionary of the English Language(RHD)"という辞書らしく、1966年に出版、87年に改訂されていると、書籍版の前書きに書いてありました。ということは、RHDが出版/改訂されてから、日本語の英和辞典になるまでいずれも7年かかっていることになります。RHDの改訂には19年を要しているので、第3版は単純計算で2006年、そこから英和になるまではあと7年ですから、2013年ということになります。もちろん推測です。

研究社
英和活用大辞典の改訂スパンは見たところとても長いので、次期OSの対応さえ問題なければ購入に走れそうです(ただ、Amazonと研究社のサイトで発売時期の表記にずれがあり、研究社では1996年12月と記載されてます。AmazonではOSでの動作確認を新リリースとしてとらえたという意味でしょうか)。
リーダーズのCD-ROMも同時期に発売されており、やはり改訂の間隔もそう短くないことから、同様のことが言えそうです。でも最近は新語の数がすごいので、間隔は詰まっていくかも(これは別の辞書の役割かな)。また、リーダーズ・プラスの改訂はまだなされてないので、その部分も不確定です。新和英のCD-ROMは出たばかりですね。

  • 1974/01 新和英大辞典 第4版
  • 1980/01 研究社新英和大辞典 第5版
  • 2001/01 EPWING新和英大辞典 第4版
  • 2002/03 新英和大辞典 第六版 【22年】
  • 2003/07 新和英大辞典 第5版 【29年】
  • 2004/09 EPWING版 CD-ROM 新和英大辞典(第5版)
  • 1958/01 新英和活用大辞典 第2版
  • 1995/07 新編英和活用大辞典 【37年】
  • 2000/07 新編英和活用大辞典 CD-ROM版

日外アソシエーツ
斎藤和英は昭和3年からの復刻ということで、頻繁に改訂される辞書ではないんじゃないか、と個人的に思ってます(思い込みかも)。それに対してビジネス技術の方は、辞書の特性から、改訂のピッチが早そうです。タイミングを合わせて買いたいですが、今買うとまあまあいい具合かもしれません。
ビジネス技術は現行の版によると、書籍としては3種類しか出ていないように、前書きに書いてあったと思います。しかし、CDは第4版なんですよね。辞書名もよく変わっているので、改訂履歴が探りにくいです。書籍は今は、英和と和英の2分冊になっています。

  • 1999/09 NEW斎藤和英大辞典
  • 1999/10 CD-NEW 斎藤和英大辞典 EPWING
  • 1994/xx 最新ビジネス・技術実用英語辞典
  • 1996/08 最新ビジネス・技術実用英語辞典 英和・和英[CD-ROM]
  • 1998/06 ビジネス技術実用英語大辞典【4年】
  • 1999/01 CDビジネス/技術実用英語大辞典英和・和英/用例・文例
  • 2000/12 ビジネス/技術実用英語大辞典 第3版[CD-ROM]―英和・和英/用例・文例
  • 2002/11 ビジネス技術実用英和大辞典 【4年】
  • 2002/12 ビジネス技術実用和英大辞典
  • 2003/02 CD-ビジネス技術 実用英語大辞典 英和・和英/用例・文例 第4版

大修館書店
比較的最近出たばかりで、大辞典級の辞書がすぐに改訂される可能性は低いかな?と思うので、個人的には早く買ってもいいと思える辞書です(お金があれば^^;)。

  • 2001/04 ジーニアス英和大辞典
  • 2002/09 ジーニアス英和大辞典 [CD-ROM EPWING]

岩波書店
7・8年間隔で改訂されている規則性が見えます。よって第6版は来年か再来年でしょうか? 困ったな、国語辞典持ってないので早く出てほしい。

三省堂
EPWING版のスーパー大辞林が小売店で在庫切れしてしまいました。インターネットに公開されていることから、新語を中心に常に増補されている辞書らしいので、99年のリリースはやや古い感もありました。今年新しく出たスーパー大辞林EPWINGではありません。岩波と三省堂で同じ時期に穴開けないでほしいなぁ。
三省堂に問い合わせたところ、EPWING版が製造中止したのは、付属の検索ソフトViewingや図版の権利者との契約切れということでした。EPWINGでは今後、出ないのかもしれません。JammingがBTONICをサポートしてくれれば助かるのですが。

EDP
本屋で売っているのは100万語時点のデータなので、買わない方がいいです。追加された差分データを売るサービスがないのは、利用者の便宜を軽視しているように感じます。主に新語や俗語に特化し、既存の大辞典の穴を埋めることに専念した辞書プロジェクトにすれば、評価の高い辞書になったと思うのですが。ダウンロード販売が始まったようです。



現行のCD-ROMを発売日順で並べた場合、次のようになりました。【】内に、(僕が目にした最安値/)メーカーの税込み価格を添えておきます。うーん、たくさんそろえると高い。全部買うと、138,270円!
通販でいくらかディスカウントして売っているサイトはあるので、送料・手数料などかかりますが、そちらを探してみるとリーズナブルだと思います。最安値で合計すると、118,305円でした。送料・手数料を無視すると、約2万円はカットできます。

  • 1998/11 広辞苑 第5版 CD-ROM版 【10,395/11,550円】
  • 1999/02 EPWING三省堂 スーパー大辞林 CD-ROM 【10,290円】
  • 1999/10 CD-NEW 斎藤和英大辞典 EPWING版 【17,010/18,900円】
  • 2000/07 新編英和活用大辞典 CD-ROM版 【10,227/13,650円】
  • 2000/07 EPWINGリーダーズ + プラス V2 【18,339/21,000円】
  • 2002/09 ジーニアス英和大辞典 [CD-ROM EPWING] 【15,120/16,800円】
  • 2002/11 ランダムハウス英語辞典 CD-ROM版 【11,571/15,750円】
  • 2003/02 CD-ビジネス技術 実用英語大辞典 英和・和英/用例・文例 第4版 【9,891 /11,550円】
  • 2004/09 EPWING版 CD-ROM 新和英大辞典(第5版) 【13,482/16,800円】
  • 2004/09 英辞郎 Ver.78 【1,980円】

*1:これは研究社の場合ですが、問い合わせたところ、OSの対応版は純粋に検索ソフトの問題だそうです。